先日の作業で、ちょっと気になった事象がありましたので、ご紹介させていただきます。
お客様からは、この前交換したばかりの6700シリーズアルテグラで、チェーン鳴きの様な異音が出るとのご指摘でした。
パーツを全て新品のアルテグラに交換して、一週間ぐらいの状態ですので、通常ありえないトラブルです。
早速一つ一つ検証してみましょう。
まず最初に疑うのはチェーンです。
シマノは、以前と違いガードグリスを使わなくなり、軽い防錆油の様なもので油漬けにして出荷しています。
当店は、これはこのままにVT-09を塗布して作業しています。
まずチェーンを点検するも、異常なし。
次にRDのアッパープーリーを分解してみます。
アルテグラの特徴として、アッパープーリーにはセラミックブッシュを使っていますので、異物が入るなどすると異音の原因になるのです。
分解点検。ついでにVT-09塗布するも異常なし。それどころかすごくスムーズに回り始めました。
最後にロワープーリーを分解します。原因はここでした。
実はシールドベアリングを使うこの部分に異常が出る事はまずないと思っていたのですが、プーリーのアルミ製プレートとベアリングの隙間に僅かの砂の様なものが入りこんでいました。
この位置は前輪が巻き上げる埃や水がかかりやすい位置なのですが、アッパーはとにかくロアーはシールドされたベアリングなので、異音にはつながらないのが普通です。
僅かの異物で、それがチェーンのかかり方によって左右に首を振る構造になっているため斜めになると異音が出ていたのです。

清掃後組みつけると完全に異音は解消しました。

音だけだと、チェーンの油切れと思いこむようなキュルキュルっとした異音も、色々な要因がありますので、決めてかからない事が肝心と改めて思い直した事例でした。

プーリーの分解整備は簡単な作業のようですが、プーリーに向き、上下、微細なシールラバーがありますので、充分ご注意ください。