昨日は、まだ足の具合が完全ではない川上さんを迎えに行ってから、埼玉県上尾市のブリヂストンサイクル上尾工場へ行ってきました。
以前から、見学の希望をお願いしていましたが、先日、飯島さんと鈴木さんがご来店いただいたときに、お約束いただきました。
私は、かねてよりブリヂストンのアンカーを組み立て作業する上で、すごいと思い続けた事がありました。
それを確認するために、またどこまでが内製で、どこが外注なのかという、皆さんが知りたいところも、しっかり確認してきました。
お約束の時間は、113:15分
ライトサイクル担当営業の飯島誠さんは、この日お休みだそうで、代わりに鈴木光広さんが案内してくれました。
鈴木光広
ソウルオリンピック日本代表
80年代ロードシーンで全日本2連覇を含み、数々の栄冠を勝ち取った名選手です。
ロード選手、監督としても有名ですが、フレームビルダーとしても高い技術をお持ちなのは、意外に知られていません。
工場入り口右手のガラスウィンドウの中には、鈴木選手、飯島選手、宇田川選手、鈴木雷太選手のロードやMTBがディスプレーされています。
写真撮影は禁止されていますので、想像でお願いします。
さて、工場見学開始です。
鈴木さんから帽子と、インカムを渡され、工場の中へ入ります。
最初は、いきなりプロフレーム(競輪)を組み立てる工程の作業場所でした。
完成したフレームにヘッド小物を組んだりする作業場です。
きれいに塗装されたピストフレームが、数本並んでいますが、荒いパウダーを施したフレームもあり、(DEROSAのメラックのような)どの様な塗装でも可能な技術の奥深さをまず見せ付けられます。
溶接定番が3台。
プロフレームを溶接する場所には、旋盤、フライス盤その他の工作機械。
8630をはじめとするフレーム用パイプ。
ラグやクラウンなどがおいてあります。
この日は、作業していませんでしたが、ロウ付けの終わったフレームをヤスリがけしている方がいました。
いつからやっているんですかと、お話したらもう15年になるそうです。
フレームと、フロントフォークのヤスリがけ専門職人です。
その仕上げは、見事というほかにありません。
フロントフォークの曲げは、2台の冶具を使い分け、刀剣曲げなどを作っているそうです。美しいフロントフォークの曲げは、正にここで作られているのです。
一般車の車輪組立工程は、作業者がスポーク通しから、組上げまで途中機械も使いながら効率よく正確に組まれていきます。
社内基準は誤差0.7mmだそうです。
手馴れた手つきでタイヤとチューブを組んでいきます。
一般車のフレームもここでは作っています。
ダイキャスト工法という、ブリヂストンの特許で、今回は修繕中で見ることが出来ませんでしたが、美しいカーブを描いた一般車もここで作られています。
鉄フレームは、塩酸、燐酸処理を施し、防錆処理工程をするそうで、何十年たっても内部が錆びてこないフレームに仕上げています。
塗装は、海外の工場で見るのと同じようなラインで作業されています。
ただし、アンカーは別工程です。
専属のスプレーマンが、調色からマスキング、塗装まで行い、塗装後の仕上げも中研ぎ工程を入れてデカールを張り、クリアー仕上げされます。
RNCなどはパウダー塗装で、丁寧に仕上げられていて、ここまでやるかというブリヂストンの高いクォリティを肌で感じました。
カーボンフレームの塗装はその素材の特性から80度まで。
下塗りから完成まで5度にも及び電気釜で強制乾燥されますが、1本のフレームを塗り上げるまでに約一日の工程になります。
カーボンフレームも作業されています。
今は、ちょうどRIS9の新しいフレームが、塗装工程に入ってきています。
カーボンの表面を、金型からぬいたままではなく、表面を完全にサンディングして中研ぎします。
フレーム表面にどうしても出来る凸凹を、ブリヂストンはきれいにならしてから塗装しているのです。
熟練の皆様は、手際よく慎重に作業を進めています。
といっても、一日の作業を推察しても5-10本程度でしょうか。
アンカーの塗装は、他者と比べても別格な仕上げと感じていましたが、このような工程で塗装しているは、マスプロメーカーとしてブリヂストンと、パナだけではないでしょうか。
正にメイドインジャパン。
日本製のすごさです。
ありました、作業工程書にライトサイクルの名前が。
お客様のフレームが、まさに今、作業中でした。
塗装の終わったフレームは、組立工程へ慎重に運ばれます。
その前に、電動自転車のアッセンブル工程を見学しました。
逆さにおかれたフレームに、電動ユニット、鍵、車輪、チェーンが装着され、箱詰めされるまでの工程は、流れ作業になっています。
次々に出来上がっていく自転車。
フレームの製作、塗装、組み立てまでブリヂストン上尾製。
まだこのような作業を国内でやっているなんて。
正直目を疑いました。
販売している私たちでさえしらなかった、ものづくり。
これを見たら、10万円の電動自転車も、3万円の軽快車も、とても価値の高いものに思えてきます。
ちょこっと、トップシークレットの工程を見せていただきました。
これは何かと言うとネオコットフレームの工程です。
特殊整形するフレームの母材。
ダブルバデッド加工し、接続部分を整形する本当に特殊な工程です。
細部の磨り合わせ、ロウ付けは職人技。
これは大変価値のあるフレームです。
次は、今回の最大目的。アンカーの組立工程です。
以前より、私がアンカーを組み立て作業するときに、最も驚くことがありました。
それはFDの取り付け位置です。
じつは、ちょこっと私はシマノのマニュアルとは違う作業をします。
でも、アンカーの作業者は同じように私と同じ感性で組んでくるのです。
いったい誰が組んでいるのか?
果たして、その作業者の方は吉岡さんと言います。
作業中にもかかわらず、お話をさせていただきました。
私は、開店以来アンカーを組んでいるのですが、その間まったくと言って良いほど、FDの再調整をしていません。
他社は言わずもがなで、再調整をして完璧な動作をするようにしています。
吉岡さんは、自分でも乗っているから、お客様にも気持ちよく乗っていただきたいとの事。
その思い入れが、スピードを要求される中にあっても、完璧な組立作業をしてくれているのです。
箱に入って届いたアンカーを、私が作業を引き継ぎ組み上げてお客様にお渡しするまでが、ブリヂストンクォリティ。
吉岡さんにも、ここから後は任せてくださいって、私の思いを伝え、後ろ髪を惹かれる思いで、離れました。
ここで登場した現場責任者の大谷さん。
大谷さんと言えば、アンカーを納車するときに最後までお客様の自転車にぶら下げたままの完成検査合格証に押された印鑑が大谷。
この大谷さんの目を通った自転車だけが、アンカーとして私のところへ届きます。
にこやかな表情の大谷さん、ほか吉岡さん、皆様。いつも本当にありがとうございます。
工場を後に、次は検査棟へ。
ここで、ブリヂストンが厳しい社内基準を設けて試験、検査を実施している様を見学しました。
特に、今、新発売のRISカーボンフレームを試験中。
目で見て変形がわかる大きな加重を交互に受け続け、20万回。
社内基準をオーバーして、さらに破壊まで。
どこから壊れるのか、以前からの疑問についても聞いてみました。カーボンフレームに共通することですが、ヘッド周り、BB周辺から破壊が進むそうなので、古いフレームはそこをチェックされることをお勧めします。
RIS9をはじめとした、ブリヂストンのフレームは、高い耐久性を保障している高品質なものと容易に解釈できます。
その他、環境を壊さない物質のチェック、マーク、塗装の耐久性、張られた注意書きシールの耐久性、一輪車のサドル衝撃テスト、スタンド、かご、子供乗せの足置きに至るまで、すべてを試験しています。
9800円で買える時代に、3-5万円する自転車の価値。
きちんと整備すれば10年は楽に使える自転車は、価格以上の安全性、価値があると強く感じました。
最後に本社の反対側にある、アンカーのクラブハウスに行きました。
ここは、選手のハウスであるとともに、色々な試験をする場所でもあります。
フレームのジオメトリーの決定等、日本人に最も乗りやすい自転車の開発は、ここで行われています。
責任者の中西さんは人間工学専門。
乗車したときの体の動きを解析するハイスピードカメラと専門ソフトで、注意深くデザインしていきます。
アンカーが乗りやすく、気持ち良いと言われる大きなアドバンテージは、この中西さんの研究によるところが大きいと思います。
当店のフィッティングマシーンを利用したポジションの提供も、このシステムによって開発されたものです。
日本製のすばらしさ。
今回、いまさらながらにそれを実感した工場訪問でした。
休みをつぶしても、見てきてよかった。吉岡さんにも会えたし、感謝の気持ちを伝えられたし。
この感動、におい、音を忘れないうちに、ブログへ書きました。
写真、動画はないので、充分伝え切れていませんが、工場見学の機会を、今後増やすと約束してくれた鈴木さんの言葉を、お土産として持って帰ってきました。
その後、遅すぎる昼食を「大木うどん」でいただき、真っ暗な17号線を走ってきました。
この機会を与えてくれた、飯島さんありがとうございました。
今日も変わらずに作業されているブリヂストンサイクルの皆様、今日もご安全に。
エルメスの自転車 当時30万円
クレージュコラボ
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BS90スポーツ
歴代の名車
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以前から、見学の希望をお願いしていましたが、先日、飯島さんと鈴木さんがご来店いただいたときに、お約束いただきました。
私は、かねてよりブリヂストンのアンカーを組み立て作業する上で、すごいと思い続けた事がありました。
それを確認するために、またどこまでが内製で、どこが外注なのかという、皆さんが知りたいところも、しっかり確認してきました。
お約束の時間は、113:15分
ライトサイクル担当営業の飯島誠さんは、この日お休みだそうで、代わりに鈴木光広さんが案内してくれました。
鈴木光広
ソウルオリンピック日本代表
80年代ロードシーンで全日本2連覇を含み、数々の栄冠を勝ち取った名選手です。
ロード選手、監督としても有名ですが、フレームビルダーとしても高い技術をお持ちなのは、意外に知られていません。
工場入り口右手のガラスウィンドウの中には、鈴木選手、飯島選手、宇田川選手、鈴木雷太選手のロードやMTBがディスプレーされています。
写真撮影は禁止されていますので、想像でお願いします。
さて、工場見学開始です。
鈴木さんから帽子と、インカムを渡され、工場の中へ入ります。
最初は、いきなりプロフレーム(競輪)を組み立てる工程の作業場所でした。
完成したフレームにヘッド小物を組んだりする作業場です。
きれいに塗装されたピストフレームが、数本並んでいますが、荒いパウダーを施したフレームもあり、(DEROSAのメラックのような)どの様な塗装でも可能な技術の奥深さをまず見せ付けられます。
溶接定番が3台。
プロフレームを溶接する場所には、旋盤、フライス盤その他の工作機械。
8630をはじめとするフレーム用パイプ。
ラグやクラウンなどがおいてあります。
この日は、作業していませんでしたが、ロウ付けの終わったフレームをヤスリがけしている方がいました。
いつからやっているんですかと、お話したらもう15年になるそうです。
フレームと、フロントフォークのヤスリがけ専門職人です。
その仕上げは、見事というほかにありません。
フロントフォークの曲げは、2台の冶具を使い分け、刀剣曲げなどを作っているそうです。美しいフロントフォークの曲げは、正にここで作られているのです。
一般車の車輪組立工程は、作業者がスポーク通しから、組上げまで途中機械も使いながら効率よく正確に組まれていきます。
社内基準は誤差0.7mmだそうです。
手馴れた手つきでタイヤとチューブを組んでいきます。
一般車のフレームもここでは作っています。
ダイキャスト工法という、ブリヂストンの特許で、今回は修繕中で見ることが出来ませんでしたが、美しいカーブを描いた一般車もここで作られています。
鉄フレームは、塩酸、燐酸処理を施し、防錆処理工程をするそうで、何十年たっても内部が錆びてこないフレームに仕上げています。
塗装は、海外の工場で見るのと同じようなラインで作業されています。
ただし、アンカーは別工程です。
専属のスプレーマンが、調色からマスキング、塗装まで行い、塗装後の仕上げも中研ぎ工程を入れてデカールを張り、クリアー仕上げされます。
RNCなどはパウダー塗装で、丁寧に仕上げられていて、ここまでやるかというブリヂストンの高いクォリティを肌で感じました。
カーボンフレームの塗装はその素材の特性から80度まで。
下塗りから完成まで5度にも及び電気釜で強制乾燥されますが、1本のフレームを塗り上げるまでに約一日の工程になります。
カーボンフレームも作業されています。
今は、ちょうどRIS9の新しいフレームが、塗装工程に入ってきています。
カーボンの表面を、金型からぬいたままではなく、表面を完全にサンディングして中研ぎします。
フレーム表面にどうしても出来る凸凹を、ブリヂストンはきれいにならしてから塗装しているのです。
熟練の皆様は、手際よく慎重に作業を進めています。
といっても、一日の作業を推察しても5-10本程度でしょうか。
アンカーの塗装は、他者と比べても別格な仕上げと感じていましたが、このような工程で塗装しているは、マスプロメーカーとしてブリヂストンと、パナだけではないでしょうか。
正にメイドインジャパン。
日本製のすごさです。
ありました、作業工程書にライトサイクルの名前が。
お客様のフレームが、まさに今、作業中でした。
塗装の終わったフレームは、組立工程へ慎重に運ばれます。
その前に、電動自転車のアッセンブル工程を見学しました。
逆さにおかれたフレームに、電動ユニット、鍵、車輪、チェーンが装着され、箱詰めされるまでの工程は、流れ作業になっています。
次々に出来上がっていく自転車。
フレームの製作、塗装、組み立てまでブリヂストン上尾製。
まだこのような作業を国内でやっているなんて。
正直目を疑いました。
販売している私たちでさえしらなかった、ものづくり。
これを見たら、10万円の電動自転車も、3万円の軽快車も、とても価値の高いものに思えてきます。
ちょこっと、トップシークレットの工程を見せていただきました。
これは何かと言うとネオコットフレームの工程です。
特殊整形するフレームの母材。
ダブルバデッド加工し、接続部分を整形する本当に特殊な工程です。
細部の磨り合わせ、ロウ付けは職人技。
これは大変価値のあるフレームです。
次は、今回の最大目的。アンカーの組立工程です。
以前より、私がアンカーを組み立て作業するときに、最も驚くことがありました。
それはFDの取り付け位置です。
じつは、ちょこっと私はシマノのマニュアルとは違う作業をします。
でも、アンカーの作業者は同じように私と同じ感性で組んでくるのです。
いったい誰が組んでいるのか?
果たして、その作業者の方は吉岡さんと言います。
作業中にもかかわらず、お話をさせていただきました。
私は、開店以来アンカーを組んでいるのですが、その間まったくと言って良いほど、FDの再調整をしていません。
他社は言わずもがなで、再調整をして完璧な動作をするようにしています。
吉岡さんは、自分でも乗っているから、お客様にも気持ちよく乗っていただきたいとの事。
その思い入れが、スピードを要求される中にあっても、完璧な組立作業をしてくれているのです。
箱に入って届いたアンカーを、私が作業を引き継ぎ組み上げてお客様にお渡しするまでが、ブリヂストンクォリティ。
吉岡さんにも、ここから後は任せてくださいって、私の思いを伝え、後ろ髪を惹かれる思いで、離れました。
ここで登場した現場責任者の大谷さん。
大谷さんと言えば、アンカーを納車するときに最後までお客様の自転車にぶら下げたままの完成検査合格証に押された印鑑が大谷。
この大谷さんの目を通った自転車だけが、アンカーとして私のところへ届きます。
にこやかな表情の大谷さん、ほか吉岡さん、皆様。いつも本当にありがとうございます。
工場を後に、次は検査棟へ。
ここで、ブリヂストンが厳しい社内基準を設けて試験、検査を実施している様を見学しました。
特に、今、新発売のRISカーボンフレームを試験中。
目で見て変形がわかる大きな加重を交互に受け続け、20万回。
社内基準をオーバーして、さらに破壊まで。
どこから壊れるのか、以前からの疑問についても聞いてみました。カーボンフレームに共通することですが、ヘッド周り、BB周辺から破壊が進むそうなので、古いフレームはそこをチェックされることをお勧めします。
RIS9をはじめとした、ブリヂストンのフレームは、高い耐久性を保障している高品質なものと容易に解釈できます。
その他、環境を壊さない物質のチェック、マーク、塗装の耐久性、張られた注意書きシールの耐久性、一輪車のサドル衝撃テスト、スタンド、かご、子供乗せの足置きに至るまで、すべてを試験しています。
9800円で買える時代に、3-5万円する自転車の価値。
きちんと整備すれば10年は楽に使える自転車は、価格以上の安全性、価値があると強く感じました。
最後に本社の反対側にある、アンカーのクラブハウスに行きました。
ここは、選手のハウスであるとともに、色々な試験をする場所でもあります。
フレームのジオメトリーの決定等、日本人に最も乗りやすい自転車の開発は、ここで行われています。
責任者の中西さんは人間工学専門。
乗車したときの体の動きを解析するハイスピードカメラと専門ソフトで、注意深くデザインしていきます。
アンカーが乗りやすく、気持ち良いと言われる大きなアドバンテージは、この中西さんの研究によるところが大きいと思います。
当店のフィッティングマシーンを利用したポジションの提供も、このシステムによって開発されたものです。
日本製のすばらしさ。
今回、いまさらながらにそれを実感した工場訪問でした。
休みをつぶしても、見てきてよかった。吉岡さんにも会えたし、感謝の気持ちを伝えられたし。
この感動、におい、音を忘れないうちに、ブログへ書きました。
写真、動画はないので、充分伝え切れていませんが、工場見学の機会を、今後増やすと約束してくれた鈴木さんの言葉を、お土産として持って帰ってきました。
その後、遅すぎる昼食を「大木うどん」でいただき、真っ暗な17号線を走ってきました。
この機会を与えてくれた、飯島さんありがとうございました。
今日も変わらずに作業されているブリヂストンサイクルの皆様、今日もご安全に。
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