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私が乗るデローザのプロトス。
その後継モデルが発表されたのは、昨年のこの展示会でした。



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その時はまだローフィニッシュ(塗装のない素材の状態)で、販売時期も未定のモデルでした。
先行してイタリアで活躍するNippo Vini FantiniチームにそれまでのSKに変わりこのプロトスの供給が始まりました。
レースのためのマシンであるプロトス。
でも非常にライダーに乗りやすく扱いやすいモデルであることは、オーナー様の多くのご感想と私の感じることとは同じです。
そして今回のニュープロトス。
確かにレースの最後の直線部分で70kmを超える速度を操れるポテンシャルは備えていますが、それよりゴールまで選手が消耗を最小限に抑えることの重要性も、デザイナーのダニーロは説いていました。

複数のカーボンファイバーをその特性を生かして適所に積層、配置することで充分な剛性と快適さを両立しているところが、単に高い引張強度のカーボンファンバーを使うだけでは出来ない、このプロトスの設計コンセプトです。
このモデルは完全にフレームの生産工場を他社に依存しています。
その工場に先日行ってきました。
生産体制、スタイロフォームを使う生産方法。
ちょうどSKのフレーム生産とIDOLのRevoデザインを仕上げている過程でした。
レイアップしている作業台には、本当に細かくカーボンの積層が指示されていて、ベテラン作業者は作業シートを見ながらレイアップし、繊維の方向性も指示書通り。
重量を計測して組み上げていきます。

それ以前のプリプレグカット工程では、室内を完全に温度湿度管理し、プリプレグ(プリプレグとは、カーボンファイバーを編んだ状態にレジン樹脂を含侵させたシート)の状態を最善に保っています。
外気温は35度近いのに、このクリーンルームの中は非常に快適です。
そんな環境からプロトスも生まれます。
先代はデローザ工場でもカスタムで作っていましたが、今回のプロトスはブラックラベルが外れています。
恐らく一番の大きな理由は、カーボンファイバーのコントロールが難しいこと。
接着方法の工程では、どうしてもつなぎ目部分で重量が増えること。
複雑な形状を作れないこと。
恐らくこれが理由でしょう。
コストダウン?
違います。
多くのサイズのデザインを行い、それぞれのモデルで金型を作りプロトタイプをでテストを繰り返す。
金型を修正して各サイズに製作。
この工場は自社に金型を作る工場を持っていて、細かな修正を早くできる稀有な工場なのです。
これには非常に多くのコストが費やされるのです。
この結果でしょう、Newプロトスのダウンチューブなど、細部を見ますとへこんだラインが見えますが、剛性を確保するためのリブ構造のように見えます。

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リブのような構造がお分かりいただけますか?
確かに前作よりダウンチューブの断面積は小さくなりました。
BBもイタリアンのスレッドに戻っています。
そのためダウンチューブはBB86の幅を目いっぱい生かしていた前作とはおのずとその断面積を変えなければならないのです。
その分を、従来工法ではおおよそ不可能なこの形状にすることで、軽量化と空力性能を稼いでいるのだと考えられます。

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カスタムオーダーはなくなりましたが、それでもNippo ViniFantiniがメインで使うレーシングバイク。
剛性、軽さともにグレードアップされていますので、より軽快になった走り。
山岳ロードも軽快にこなすオレンジのジャージが、私たちを楽しませてくれることでしょう。

なおライトサイクルではブラックマットカラーを1台先行予約いたしました。
かなり先にはなると思いますが、入荷次第ご連絡させていただきます。

余談。
私はものつくりの現場を見ないと納得できない性格です。
良いと言われても、出来上がりを見ているだけでは、実際よくわかりません。
ジオメトリーなどの情報はありますが、作り手の考え方、精度、マインドなどが非常に重要と考えるからです。
決して工場の規模ではなく、働く人の環境、満足度は仕事を見ればすぐに理解できます。
逆にそれがとても重要なのです。
これからも機会があれば、製作現場に足を運んでみたいと思いますし、そのための労力は惜しみません。

研ぎ澄まされたレーシングマシンには、美しさが漂います。
大量生産品にはない素晴らしさ。
今、一番欲しいフレームがプロトスです。