西武鉄道の終点が吾野駅だったのが、正丸トンネルの開通で一気に秩父へ赤い矢の西武鉄道が乗り入れました。それ以前は東武東上線で寄居まで。そこから秩父鉄道で秩父へと、長い時間を必要としていました。
山の中の盆地である秩父は、札所巡りに代表される歴史とロマンの溢れたとても魅力のある街です。
ハイキング、登山に利用するお客様。三峯神社への参拝客が数多く訪れていた地に、新たな交通ルートの開通で、西武鉄道は本気のアピールを展開しました。
そのひとつとして、奥武蔵、秩父のハイキングコースをモデルコースとコースタイム入りの充分使える地図を駅で無料配布したのでした。
それはもちろんサイクリングでも使えるものでした。
奥武蔵はそれこそ学校の遠足で正丸峠、伊豆ヶ岳、子の権現(ねのごんげん)を歩いて馴染みがありましたが、秩父編のそれは、全く未知の世界。
西武鉄道のハイキング急行で便利になったとはいえ日帰りが出来たのも奥武蔵まででした。
サイクリングでもグリーンライン、山伏峠まで。
その先はなかなか行くことが出来ずにいましたが、それでも地図がボロボロになるまで使い倒し、もちろん国土地理院の地図も携帯。それこそ毎週のように走りに行ったものです。
もうひとつの秩父編には大血川というなんとも怖い名前の川があり、渓谷に沿って大血川林道があります。隣には浦山川。他にも大洞川とか。
果たしてそこはどんな所だろうと思いを巡らし、それでもアルバイトのお金を全て自転車のパーツに使ってしまって、というよりなんか怖さがあったのです。当時はソロツーリングばかりでした。
いつかは忘れてしまいましたが、その秩父の峠へ向かったことがありました。
飯能から名栗川沿いに登り、名郷から白岩集落へ。
そして道の途切れた先から鳥首峠を自転車を担いで越えたのです。憧れた秩父に自転車で行きました。
その時は浦山大日堂で、素朴なお祭りがありました。
大血川に先日行ってきました。
今回は新緑の美しい渓流にヤマメを求めて。
はたして姿を見ることは出来たものの、キャッチすることは叶わず。フライフィッシングで初めての自然渓流魚を釣り上げるのは、しばらくお預けになりました。
お陰様で今では秩父にも庵を構えるようになり、峠を越えて通う回数も増えましたが、4-50年前のあの時の昂る、恐れる気持ちに今も変わりがないことが自分の心の奥の愉しみでもあります。
皆様にもこのような地がありますか?